ふらふら生きつつふらふら書く

情報処理技術、演劇、仕事、生活、他諸々、頭の中を整理するために書き出します。

自動車の電源

情報処理におけるソフトウェアを専攻し、ハードウェアを触らないとなると、
乱暴かつ大雑把に括れば、
基本的には、多少の数学(論理と集合)とアルゴリズム(問題を特定・分解し、ひとつひとつ解決していく考え方)と、古典的コンピュータの基礎を土台にして、応用として他分野の技術との融合なんかを図っていくものと思う。
そうすると、私のようにものぐさで、応用をやるにあたって他分野の技術を掘り下げない場合は、結局コンピュータでちょっとした算数をやるくらいのことしかしないことになる。

職場でおじいちゃん先生の話を聞き、同僚先輩の話を聞き、分かったのは、既存の日本の産業の多くで使われている土木・機械・電気・電子・化学といった技術に対して、自分はずいぶん遠い位置に立っているということだった。今まさに、情報処理技術は世界規模で需要のある一大産業となっているけれど、それでもまだ、地方の片田舎でほそぼそ操業する工場においては希な技術であり、かつ、電線端末加工という初歩的なものづくりの実際の現場においては、ほとんど活用されることがないと言えると思う。

とはいえ、ある程度の知識を持っておかないことには、手元の作業を進めるにもいちいち不安が付きまとってやりきれないので、適当な本を探した。
気になって仕方なかったのは、納める電装部品の機能をどのように考えればよいか、ということだった。
とりわけ品質という点について、結局のところ顧客は何を気にするのか、その優先順位は基本的にはどのように決まっていくのか、といったところが知りたかった。

単純に検索して、この本を手に入れた。

自動車電装工学 | 遠藤 貞一 |本 | 通販 | Amazon

知識を実務に持ち込むにあたって、基本的にインターネットの情報を信用するなと叩き込まれてきたので、情報源として本が欲しかった。
おじいちゃん先輩の口伝の中に、「自動車関係のバッテリは12Vだから、、」という文句があったのだが、この本で確認できたので多少安心した。
近年では、42Vなど、もうちょっと高い電圧のバッテリが実用化されたらしい。

42V電装 - Wikipedia

よくわからないが、あまり流行っていないらしい。

何はともあれ、12Vというのは、この本の初版が発行された昭和52年、つまり1977年、今から40年前くらいから世界の標準として使われてきた数字らしい。
作業のオチを考えるにあたって、基準となる要素が一つはっきりすると安心する。
中に書いてあることは、充電・始動・点火回路他、電源電圧が接続されるデバイスや計測器に関しての具体的な記述で、
今でもさっぱりわからないが、上記の口伝がほかの人の口からも聞けただけでも、私にとっては値千金の本である。

 

そのほか、へーと感じた記述を以下に引用する。

イグニッションコイルは、バッテリ電圧12V(あるいは6V)をスパークプラグに印加する高電圧、約2万V前後に昇圧させるための変圧器として機能する。」p81,5. 点火回路

現代でも、この数字はさほど変わっていないらしい。

イグニッションコイル|NGKスパークプラグ製品サイト
2万Vという高電圧が、たった12Vから生み出せるものなのかということに単純に驚いた。
原理となる物理現象とその数式について記述があり、それがまた非常に簡単な式展開なので、関心してしまった。
かんがえたひと、すごい。

 

「1970年の日本万国博では、約300台の電気自動車が使用された。」P112, 7.電気自動車

1977年の本に電気自動車についての記述があることになんだか嬉しくなってしまった。
プリウスなどのハイブリッド車も、今現在日常に溶け込んでいるので気にしたことがなかったが、
電気自動車もずいぶん昔から構想されていたらしい。

電気自動車 - Wikipedia
古い本を漁っていて、こういった現在と地続きになっている記述を見つけると、なんだか感慨ある。

 

さて、自家用車を自分でいじったりする人や、電気について興味がある人にしてみれば、たったこれだけのこと、といったところだと思う。

自分でもそう思うが、これまで生きてきて、自動車のバッテリに興味を持つ機会がなかったのである。こればかりは致し方ない。