ふらふら生きつつふらふら書く

情報処理技術、演劇、仕事、生活、他諸々、頭の中を整理するために書き出します。

専門をもつということ

大学の学科がまとめられつつあるという記事を見つけた。

www.asahi.com


この方針は、世界に通用する専門性をもつ一流大学を除いてどんどん広まっていくと思う。

ものづくりをやる工場に勤めている多くの人は、現場が物理・電気・化学・情報処理のごった煮みたいなソリューションで溢れているのを目の当たりにしていると思う。
そういうソリューションは大変便利そうで、何か効果的な改善が期待できそうなのだが、
いざ活用するためには、改善活動を推進する人はもちろん、現場で活用する人も含めて、物理・電気・化学・情報処理の基礎を最低限抑えていないことには、まず話が進まない。

工場内で働く多くの人は、「ふつう」に働くために個人として求められている能力が、狩猟と採取で生き延びた時代と比較して、明確に異質かつ複雑になっていると思う。

現代人は本当に優秀だと思う。世の中はもっと幸せになってよいとも思う。


大学も増えて、それでもまだ2人に1人らしいが、高校から進学する人は増えているらしい。

日本ではなぜ人口減でも大学が増え続けたのか | 学校・受験 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

大学進学率が過去最高54.4% 専門学校など合わせ8割に | 教育新聞

それに併せて、私みたいに将来の自分を具体的に描けないまま進学する人もきっと増えているんじゃないかと思う。

この20年間で学生の「質」は変わったのか? その1


冒頭の方針は、国家の運営に近い優秀な方々が、凡人学生はせめて汎用的な知識をできる限り多く身に着けさせて社会に出した方が、企業と高等教育機関との折り合いも付くといったような方針と思う。納得し、同意する。私はうらやましい。


情報処理を学んだ後、情報処理を本業にしない企業に勤めて感じたのは、そういった工場内の背景に対して、ほとんど準備ができていないということだった。
自分の学んできた分野というのはまだまだ少数派な部類で、また、ものづくりの現場で求められている技術よりいくぶん遠い分野だと思った。
一方で、中学まではそれなりに真面目にやってきたつもりでいたこともあって、電気・化学の復習をするにあたってはそれほど困らなかったので、義務教育制度は本当によくできた制度だということも感じた。


尊敬するおじいちゃん先輩は、化学を専攻していた方で、はんだペーストを活用して新幹線の部品の一部を技術開発・実用化したことがあると教えてくれた。60歳頃に心臓関連のご病気で死にかけたと仰っていたが、80歳近くでいらっしゃる今も現役の技術者だ。技術営業から仕事をはじめ、紆余曲折を経て電気をやるようになったとのこと。

ものづくりの現場において求められる電気の基礎知識はそのおじいちゃん先輩に教えていただいた。
おじいちゃん先輩曰く、大きな企業では自らの専門とは異なる専門分野を担うことは珍しくなく、ご本人もその波に乗ってきたと感じていらっしゃるらしい。

正直なところ情報処理すらふわふわしているのに違う分野を掘り下げるのは非常に抵抗があるし億劫だし何より自信がない、と思ったが、おじいちゃん先輩に焚きつけられ、手元の作業を進めるための安心が欲しく、本を買い漁った。
いや、自分の不勉強と無気力で、今に至るのだけども。


実用的だし頑張る価値があると、おじいちゃん先輩が教えてくれた資格の勉強本を買ってみた。

www.amazon.co.jp

めっちゃ厚い。
しかも、理論・機械・法規・電力の4分野に分かれていて、全部厚い。
高校の物理の教科書を片手に、理論の本を紙とペンを使って読み進めた。
が、そもそも電気に関して興味が無いようで、50ページもいかずに手が止まった。
具体的な公式も、概念と理屈は面白いが、まるで覚えていられない。
興味が無い分野の学習がいかに難しいかということ、専門家は偉大であるということを改めて感じた。

それにしても、ここまで膨大な知識と理屈を活用できる人がいるおかげで生活できているということには、頭が下がる思い。